「東欧にあるけど存在感が薄い国」といえば、真っ先に思い浮かぶのがモルドバ。ヨーロッパの中でも最も貧しい国の一つとされ、観光地としての情報も非常に少ない――だからこそ行ってみたくなった。

旅の基本情報
- 旅行先:モルドバ共和国(首都キシナウ)
- 日程:3泊4日(2025年3月)
- 目的:マイナー国体験、ローカル文化、美味しいワイン
- 変わった体験:自称「未承認国家」沿ドニエストル共和国訪問
1日目:キシナウ到着と市場探索
ルーマニアのブカレストから飛行機で1時間。モルドバの首都キシナウに到着した瞬間、「本当にヨーロッパか?」と思うような独特の空気。旧ソ連の名残が色濃く残る灰色の建物、ゆったりとした人の流れ、まるで時間が止まったような感覚。
まず訪れたのは「キシナウ中央市場(Piata Centrala)」。ここでは野菜、果物、チーズ、激安ワインまで何でも売っていて、地元の活気に満ちている。言葉はルーマニア語かロシア語。観光客慣れしていない分、こちらも自然体で溶け込める。
写真映えスポット①:聖母誕生大聖堂(Nativity Cathedral)
白と黒のコントラストが美しいオーソドックスな教会で、モルドバの象徴的建築物の一つ。夜にはライトアップもされ、静かに神秘的な雰囲気を醸し出す。
2日目:自称国家「沿ドニエストル共和国」潜入
この旅最大の目的がここ。「沿ドニエストル共和国(Transnistria)」。モルドバ東部にありながら、実質的に独立状態。ソ連崩壊後に独自通貨・軍隊・政府を持ち、自らを国家と称しているが、国際的には未承認。
バスで約2時間。国境のような検問所があり、パスポートチェックが行われる。滞在許可証のような紙を渡され、24時間以内の出国を求められる(しかし実際には3日滞在できると現地の人が教えてくれた)。
ティラスポリの街中ではレーニン像が残り、車は旧型ラーダ、建物にはハンマーと鎌のマーク。まさに「ソ連ごっこ国家」だった。
写真映えスポット②:沿ドニエストル議会前の戦車モニュメント
議会の前に本物の戦車が展示されており、背景には赤旗とレーニン。まさにインスタ映えならぬ「歴史映え」。
3日目:ワインの地下都市「クリコヴァ・ワイナリー」
モルドバは実は「隠れたワイン大国」。なかでも有名なのが、地下都市のようなワイナリー「Cricova(クリコヴァ)」。地下に約120kmのワイン倉庫があり、ゴルバチョフやプーチン、さらにはアンゲラ・メルケルの専用セラーまで存在する。
英語のガイドツアーに参加(要予約)。試飲込みで約3000円。スパークリングワインが絶品で、地元産のチーズと合わせると至福の味。
写真映えスポット③:ワイン樽が並ぶ地下通路
まるで中世の迷宮のような雰囲気。涼しく、静かで、時間がゆっくり流れている。
4日目:お土産と最終日
最終日はキシナウの「アート・マーケット」へ。手作りのマトリョーシカ、刺繍布、木製工芸品などが並び、ローカル感あふれるお土産にぴったり。
空港では最後にモルドバ名物のチョコとワインを購入。小さな国だが、忘れがたい体験がぎっしり詰まった旅だった。
総費用(3泊4日・1人あたり)
- 航空券(東京→ブカレスト→キシナウ):55,000円
- 宿泊(3泊・キシナウとティラスポリ):15,000円
- 食費:6,000円
- 交通費(バス・タクシー):3,000円
- ワイナリーツアー:3,000円
- その他(お土産など):5,000円
合計:約87,000円
モルドバ旅行の注意点
- 英語はあまり通じないので、簡単なロシア語・ルーマニア語が役立つ
- 沿ドニエストルでは国際的な保険が適用外になる可能性あり(入るなら拡張プランを)
- 公共交通機関は時間通りに来ない、現地アプリなどはないのでタクシーアプリ「Yandex」がおすすめ
まとめ
モルドバは確かに地味かもしれない。しかし、だからこそ味わえる「観光客にすれ切れていないリアルな東欧」。そして、未承認国家という摩訶不思議な場所にも簡単に足を運べる。一度は訪れるべき「知られざるヨーロッパ」だ。
コメント